上武絹の道ブログ
12月7日 世界遺産「田島弥平旧宅・荒船風穴」連携セミナーを開催いたしました。
2019.12.12
12月7日(土)伊勢崎市境島村公民館にて 世界遺産「田島弥平旧宅・荒船風穴」連携セミナーを開催いたしました。講師に下仁田町歴史館・秋池武館長をお迎えし、「荒船風穴と蚕種製造農家~下仁田町と境島村のつながり」と題して講演をしていただきました。
荒船風穴は国内最大規模の蚕種(蚕の卵)貯蔵施設でした。夏場でも摂氏2度程度と涼しい自然の冷気を利用し最長で9月まで蚕の卵を冷蔵保存し、卵の孵化を秋まで遅らせることで、年複数回の養蚕を可能にし、繭の増産に貢献しました。
伊勢崎市の境島村地区をはじめ旧佐波郡は蚕種製造が盛んであり、荒船風穴のある甘楽郡に次いで荒船風穴に蚕種を預ける人が多かったとのデータの紹介がありました。荒船風穴を経営していた庭屋静太郎が「荒船風穴」と名付けたのは、伊勢崎や本庄エリアの蚕種製造農家に向け、西の方角にある特徴的な荒船の山を印象付けて商売につなげたいとの思いがあったのではないか、そう秋池館長は推測されます。荒船風穴を経営していた春秋館の資料の解析をすすめるなかで、伊勢崎市の旧豊受村や島村からの送受の記録や送付箱などが見つかっており、商売のつながりがあったことが実証されております。
セミナーの後には下仁田町観光協会様のご協力で、観光と名産品の紹介があり、旬を迎えた下仁田ネギや蒟蒻の詰め合わせ、銘酒「荒船風穴」などがジャンケン大会の勝者にプレゼントされました。
また、会場では写真展示「目で見る島村の歩み」も行われ、島村地区が蚕種製造で盛んな頃の貴重な写真がお披露目されました。写真に写る上田の蚕種製造会社の屋号に目を止め、現存する会社であることを教えてくださる方がいらっしゃるなど、いろんな方の英知がつながる機会でもあり、とても有意義でした。
参加者からは「とても意義のある企画と思う。世界遺産の構成資産としてつながりがあったことがよく理解できた」(玉村町・70代)、「荒船風穴に来年は行きたいと思います」(伊勢崎市・60代)「大変参考になりました。春秋館にも興味を持ちました」(太田市・60代)などの声が寄せられました。
NPO産業観光学習館では、世界遺産の構成資産同士のつながりを紹介するセミナーを今後も開催していきます。荒船風穴や春秋館のある下仁田町根小屋地区の視察なども企画していく予定です。
皆様のご参加をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
写真左:目で見る島村の歩み 写真中:秋の荒船風穴 写真右:春秋館のある下仁田町根小屋地区