上武絹の道ブログ

「上武絹の道で日本伝統食文化を体験する日帰り旅」を催行いたしました。

2019.12.25

 12月21日(土)、年の暮れの休日に上武絹の道エリアにある味噌・醤油の醸造所と渋沢栄一記念館、そして日本酒の蔵元を訪ねました。

 最初の訪問先は埼玉県神川町にあるヤマキ醸造です。「守る自然・残す自然」をモットーに、自然との共存を実践している食品会社です。神川工場には味噌蔵・醤油蔵・豆腐工房があります。ヤマキ醸造は1905年に群馬県の吉井町で木谷伝次郎氏が創業しました。創業当時は、冬は味噌・醤油づくり、夏は養蚕業を行っていたそうです。麹の発酵に適した冬の間、農家から米や麦、大豆を預かり、味噌・醤油に換え依頼主にお返ししました。養蚕事業は高山社の木谷分教場として養蚕技法の指導を行っていました。(高山社は2014年に「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産として世界遺産に認定されています。高山社は温暖育という養蚕技法を全国に広め日本の絹産業の発展に貢献しました。)

 ヤマキ醸造では国産大豆・小麦・塩そして、旧神泉村というこの地名の由来である豊富な湧水を使い、麹・酵母・乳酸菌の働きを利用する古くから伝わる製法で醤油づくりをしています。熟成したもろみを「濾布(ろふ)」に包んで搾る工程が体験できます。搾りたての醤油と搾ったあとのもろみがお土産となります。併設するレストラン紫水庵で豆冨会席を堪能し、売店にて湯葉やお豆腐、味噌などの買い物を楽しみ、ヤマキ醸造を後にしました。

 次の訪問先の渋沢栄一記念館では建物の北側にある渋沢栄一像を最初に見学しました。愛らしい渋沢栄一像に親しみを覚えた後、館内にて解説を受けます。テンポよく渋沢栄一の生涯と功績の数々の説明をしていただきました。館のエントランス横では地元農協の皆さんが旬を迎えた深谷ネギ、ブロッコリーなど新鮮な地元野菜を安価で提供しており、参加した皆さんはここでもお土産を買い求めていました。

 渋沢栄一記念館の後は、滝澤酒造を見学しました。滝澤酒造は1863年に埼玉県小川町で創業し、1900年に深谷市の現在地に移転してきたとのことです。蔵のシンボルでもある深谷レンガ(旧日本煉瓦製造)の煙突は1930年に建造されました。煙突には第2次世界大戦のときの機銃掃射の痕が残っています。深谷レンガのお膝元という場所柄か、この煙突に限らず倉庫やムロに至るまでレンガがふんだんに使われています。深谷市の近代遺産を今でも大切に活用している貴重な企業といえます。伝統的な製法にこだわりつつも、発泡性日本酒の開発に取り組むなど、「伝統は革新の連続」を体現する老舗蔵元だと感じました。

 日本の伝統食文化で上武絹の道をたどる今回のツアーは、味噌・醤油・野菜・日本酒とお土産が盛りだくさんで、参加者の皆さんにご満足いただいたツアーとなりました。