夢を手繰る生糸の物語 過去から現代、そして未来へ
吹けば飛ぶような小さな繭から手繰られた一本の生糸。
その細くて弱々しい生糸が、アジアの片隅の小さな国を、
豊かで強大な欧米列強と肩を並べる大国にまで押しやった。
ひと・産業・未来――
時代をひらき、世界へ向かう道。
吹けば飛ぶような小さな繭から手繰られた一本の生糸。
その細くて弱々しい生糸が、アジアの片隅の小さな国を、
豊かで強大な欧米列強と肩を並べる大国にまで押しやった。
「上武絹の道」――それは近代化と国際化へ続く道。
道をつくり、道につどい、道をゆきかう。
人びとのまなざしは、新しい日本へ向けられていた。
「上武絹の道」の象徴的存在、富岡製糸場。
世界との交流によって生まれ、さらなる交流を促した。
いま、時空を超えた遺産として、その軌跡を輝かせる。
「上武絹の道」の始まりは、深谷にあった。
奇しき縁でむすばれ、手をたずさえて礎を築いた人びと。
その物語から、新しい国をつくる夢と気概を読み取る。
事を為す人の力、人間という存在の放つ魅力とは何か。
「上武絹の道」の世界を織りなす多彩な人物。
それぞれの思いを探り、「人間力」を浮き彫りにする。
富岡製糸場に全国から集い、研鑽に励んだ工女たち。
職業意識と技術の習得は、女性活躍社会の先駆けだった。
「上武絹の道」を結ぶ役割も果たした彼女たちの足跡。
絶えざる技術革新、それを支えた業際間の取り組み。
養蚕・製糸は、日本が近代化を歩む道筋の先端にあった。
それは時代を超え、現代の先端産業の系譜へと連なる。
産業力を軸に「上武絹の道」から広がる国内外への伝播。
技術・経営・生活様式など、その影響は多岐におよぶ。
絹産業の営みは今も、国境を越えて続けられている。
連携と協働により近代化と国際化を率いた「上武絹の道」。
その道をたどることで浮かび上がる発見がある。
絹の道は過去のものではなく、次の時代へと続いている。